高橋洋一氏が注目しているのは、財務省の将来の次官候補と見られていた一松旬(ひとつまつ・じゅん)主計局次長が、東京税関長へ異動した人事です。財務省側も2026年8月、この人事について質問を受け、「適材適所」と説明しています。
高橋氏によると、国家公務員の幹部には「指定職俸給表」という給与上のランクがあります。資料中では次のように説明されています。
| 給与ランク | 主なポスト | 財務省内での位置づけ |
|---|---|---|
| 8号 | 事務次官 | 官僚の最高位 |
| 7号 | 財務官 | 次官に次ぐ最高幹部級 |
| 6号 | 主計局長 | 予算を握る非常に重要な局長 |
| 5号 | 官房長、主税局長、関税局長、理財局長、国際局長 | 本省の主要局長級 |
| 3号 | 総括審議官、東京税関長など | 指定職の上級幹部 |
| 2号 | 主計局次長、官房審議官など | 局長候補となる幹部級 |
人事院の資料でも、事務次官=8号、財務官=7号、主計局長=6号、官房長や主要局長=5号という構造が確認できます。
一松人事の「妙」
一松氏は、
主計局次長=2号 → 東京税関長=3号
なので、給与ランクだけ見れば昇格です。
ところが高橋氏は、東京税関長について「ここから本省の局長、事務次官へ戻る例は非常に少ない」と説明します。つまり、
給料は上がった
↓
肩書も局長級になった
↓
しかし事務次官レースからは外れた可能性がある
という、一見すると分かりにくい人事だというわけです。
なぜこれほど注目されたのか
高橋氏によれば、一松氏は開成高校、東京大学を経て財務省に入り、国家公務員試験でも最上位級で、岸田政権では首相秘書官を務めるなど、早くから事務次官候補と見られていた人物でした。
朝日新聞は当時、官邸幹部の話として「政権にあまり協力的でなかった」ことが人事に影響したとの見方を報じています。ただし、高橋氏自身は原因を断定せず、別の人事上の事情などの可能性もあり、「本当の理由は分からない」という立場です。
高橋氏が本当に言いたいこと
むしろ高橋氏の中心的な論点は**「内閣人事局が実際に力を持った」**という点です。
内閣人事局は、幹部官僚の人事について官邸が関与できる仕組みです。高橋氏は、その構想は第1次安倍政権時代にさかのぼり、第2次安倍政権で実現したものの、安倍政権では財務省に対して実際に強く人事権を行使することは少なく、主に「牽制」の意味が強かったと説明しています。今回については、高市政権がその仕組みを実際に使ったのではないか、というのが高橋氏の解釈です。
さらに財務省の文書課長が近畿財務局長へ異動した例も挙げ、**「官僚を動かすうえで、人事権は非常に強い」**と強調しています。
いちばん分かりやすく言うと
今回のポイントは、こうです。
官僚の人事には二つの「ランク」がある。
① 給与上のランク
2号 → 3号なら「昇格」
② 出世コース上のランク
主計局次長 → 東京税関長なら「次官コースから外れた」と受け取られる場合がある
ですから、高橋氏の話の核心は、
「役職・給料を下げなくても、人事によって官僚に非常に強いメッセージを送ることができる」
ということだと思えば、かなり理解しやすいです。
これは前の**「高市内閣改造は仕事・政策を見る人事ではないか」**という高橋氏の話ともつながっています。今回の財務官僚人事まで一緒に見ると、彼が高市政権をどう見ているのかがかなりはっきりします。


